笑顔の未来へ

元ジャニオタ現EBiDANオタク

観劇カラフト伯父さん

カラフト伯父さん、観劇してきました。ネタバレになるのか、自分では判断のつかないギリギリの内容になります。ご了承ください。







徹の感情、特に怒りについては、いのちゃんは雑誌等のインタビューでよく触れていたので、怒りに注目して物語を味わいました。
主演伊野尾慧でなければ、おそらく見ることがなかったであろう作品。いのちゃんをきっかけに、作品そのものに出会えた嬉しさで、帰りの電車がとても幸せな気持ちです。

 ヒトの第一感情は怒りではない。前にそう習いました。怒っている人は、必ず怒りの前に悲しみがある。悲しみやつらさの表出の仕方は人それぞれ。だから、怒っている人がいたら、なぜ怒りに至ったのか、その人の悲しみの原因を考えなさい。

そのことを念頭に置きつつ徹くんを見ると、カラフト伯父さんとのやりとりがより理解できたように思います。

大好きなヒーローであったカラフト伯父さん。離れてたってピンチの時にはきっと来てくれると、絶対的に信じていた徹。離婚どうの以前に、徹の心の底には、カラフト伯父さんへの信頼があったのだろう。
子ども時代に、自分の負の感情を受け入れてもらえるか。それはその後の考え方や生き方に少なからず影響を与えると思う。

徹だって子どもだった。自分の負の感情、母の死の悲しみ。育ての父である親父もきっと寄り添ってくれただろうが、徹にはきっとカラフト伯父さんも必要だった。
舞台では触れられていないが、徹は辛い気持ちを素直に 親父にぶつけられていたのだろうか。仁美をぶっきらぼうにも気遣う徹だから、親父に何か気を遣っていたのだろうか。

子どもは、負の感情を親に受け止めてもらって、成長していくのだと思う。共感してもらって、自立していく。
逆に、受け止めてほしい相手に 受け止めてもらえないと、それは憎しみにもなる。

母の死に重ねて 震災。兄や五つの幼子を振り切って走った徹が必要としたのは、近くの親父ももちろんそうだったろう。でも遠くのカラフト伯父さんの名前を叫び続けた。徹は正直に素直に、自分の気持ちを叫んだ。

誰にも受け止められずに消えた 徹の叫びは、やがて時間とともに、なんで?と怒りに変わっていった。

そこまで怒りが大きくなったのは、それだけカラフト伯父さんのことが好きで、憎んでも憎みきれない。

徹の毛布は、何度も徹の悲しみを涙を受け入れてくれたに違いない。
毛布に温もりを求めた徹が、最後、毛布を笑顔で干した時、徹の心情の変化を実感できた。

三人三様の悲しみを抱えて、それがぶつかり合って。人は一人では生きていけないが、人と気持ちを通じ合うのはたやすい事ではなくて。
不器用に生きる3人が、2時間で大好きになりました。

伊野尾担的には萌えポイントが散りばめられていたわけですが、いのちゃんが丁寧に考えた怒りについて、自分なりに納得できました。


願わくば、もう一回観たい。